第 3 章

デジタル労働力プラットフォームへの 投資を見送ることは 企業にとってリスクとなる

従業員がエージェントを活用できる環境を整えていない企業は、ますますライバルに遅れを取るリスクを抱えることになります。

エージェント時代の仕事では、「会話」がこれまでのコーディングのような役割を果たします。つまり、言葉で説明できさえすれば、あとはエージェントが代わりに実行してくれるのです。これは、AI の利用についてこれまで十分なサポートを受けられていなかった従業員にとっても朗報です。調査では、AI に関して十分な教育を受けていると回答した人は 12% にとどまり、勤務先で AI についての研修が行われていない(または実施されていても認識していない)と答えた人が 62% にのぼっています。企業は、明確な役割と能力をもった独自のエージェントを従業員が構築・利用できるようなエージェントプラットフォームを選択し、明確なポリシーを定める必要があります。従業員が AI を活用しやすい環境への投資を行わない企業は、この先、競争力の維持がますます難しくなるでしょう。ライバルが AI で業務を改善して顧客サービスを向上させるなか、業界での自社の地位や成長の可能性が危うくなるかもしれません。

0 62
%
世界で働く人の 12% が AI に関する十分なトレーニングを受けたと回答。
62% が勤務先がトレーニングを提供していない(あったとしても認識していない)と回答。

従業員のおよそ半数が、勤務先から正式に承認されていない AI ツールを仕事で使用していると回答。

未承認の AI ツールを使用している人の割合
52%
従業員
66%
経営幹部

エージェントの利用に向けて
従業員をサポートする方法

1
エージェントに対応したプラットフォームを導入する。
AI エージェントの導入と管理を一元的に行えるプラットフォームに投資しましょう。Slack と Agentforce の組み合わせなど、ユーザーフレンドリーで連携性にすぐれたプラットフォームを使うことで、組織全体への AI ツールの導入を後押しできます。
2
AI についての包括的なトレーニングを従業員に提供する。
研修プログラムに投資することで、スキルギャップを解消できます。トレーニング不足により、従業員が AI を効果的に使うことができなければ、組織はビジネスチャンスや競争優位性を失うことになります。
3
AI の利用をパフォーマンスや生産性の指標と結びつける。
AI がチームや個人のパフォーマンスに与える影響を数値で評価しましょう。具体的なメリットを示すことで、AI の価値を立証でき、従業員による受け入れへの意欲も高まります。
Aurora
オーダーメイドの AI システムを構築できるような一流の人材を見つけるのは、非常に困難です。また、そのようなツールを組織でメンテナンスし続けるのも、大きな負担になります。たとえば、オープンソースの大規模言語モデルを自社で運用するとすると、定期的なアップデートを行うたびに、自社のアプリケーションに影響を与えるおそれがあります。コストも高くつき、人材の確保も簡単ではありません。
Kevin Chung 氏
Chief Strategy Officer Writer
Aurora
適切な質問ができる力や、エージェントのマネジメント方法を理解する力が、これからの必須スキルになるでしょう。AI エージェントは、まったく新しい形の労働力を生み出します。つまり、誰もがエージェントというバーチャルな部下を持つマネージャーになるのです。プロンプトエンジニアリングに長けた人ほど活躍できる時代になるでしょう。
Mark Christianson 氏
Senior Manager
of Digital Workspace &
AI Strategy ezCater
Aurora
本気で AI を活用したいと思う企業は、従業員のトレーニングにもっと時間と労力をかけるべきです。ユースケースを示す取り組みも重要です。そのような教育は成果が見えづらいと思うかもしれませんが、実際には AI の価値を現実のものにするために不可欠な要素です。
Rob Lara 氏
Deputy Director of the Office
of the CIO ManTech
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