第 2 章

汎用型のチャットボットやコパイロットの先を行くエージェント

AI の導入が遅れている従業員の学習時間を短縮するようなデジタル労働力プラットフォームに、企業は投資する必要があります。

Slack の調査によると、チャットボットやコパイロットといった汎用型の AI ツールは、その利用や効果において期待を大きく下回っています。実際、AI の早期導入者のあいだで、活用の伸びの鈍化が見られています。また、AI の導入が遅れている人は、AI を効果的に使うための支援を十分に受けられておらず、AI をどれだけ信頼してよいのか判断できないままでいます。教育や研修の不足、プライバシーやセキュリティの懸念、AI の使用基準の不明確さなどが、スムーズな導入を妨げるブレーキとなっているのです。こうした背景から、多くの企業がこのテクノロジーの価値を最大限に活用できていません。しかし今、企業には大きなチャンスがあります。それは、先を見据えてこれらの課題に向き合い、責任が明確で信頼性の高い、共同作業可能な専門特化型の AI エージェントについて、従業員がさまざまな実験を行えるような環境を整えることから生まれます。

AI の早期導入者とそのライバルたちとの差は広がっている。

AI の導入率は、27% の日本から 60% を超えるインドまで、国・地域により大きな差が見られます。 継続的に調査の対象となっている 6 か国では、AI の利用率は 2023 年 9 月の 20% から 2024 年 10 月の 36% へと、伸び率 80% の増加を見せています。しかし、リーダーが注目すべきなのは、2024 年の後半を通じて利用率の伸びが低下しており、世界的に鈍化の兆候が見られることです。
AI 導入率
50 %
40 %
30 %
20 %
10 %
0 %
9月 '23
10月 '23
11月 '23
12月 '23
1月 '24
2月 '24
3月 '24
4月 '24
5月 '24
6月 '24
7月 '24
8月 '24
9月 '24
10月 '24
2023/2024
オーストラリア
フランス
ドイツ
日本
英国
米国
オーストラリア
世界のトップ平均
AI の利用に関して、自社には公開されたガイドラインがないと回答した従業員の割合。
自分の業務フローに AI を取り入れる方法を明確に理解できていない従業員の割合。
0 94
%

今後 12 か月以内に AI への投資を計画している経営幹部の割合。

エージェントを活用して
競争優位性を得る方法

1
汎用型の AI ツールよりも、専門特化型のエージェントを優先する。
わかりやすく実用的な、特定のタスクに特化した自律型のエージェントを使うことで、生成 AI を取りまく曖昧さや不安に対処できます。それが導入率アップにつながり、目に見える生産性の向上を導きます。
2
仕事での AI 利用に関するガイドラインやポリシーを明確にする。
明確な方向性や利用範囲をしめすことで、従業員の不安をやわらげ、責任のある AI 利用を促進できます。具体的には、データプライバシーや倫理的配慮、適切なツールの選択に関するポリシーを策定するとよいでしょう。
3
従業員がエージェントのチームをマネジメントできるよう支援する。
AI エージェントをチームの一員と考えて、従業員がエージェントを管理し、コラボレーションできる環境を整えます。これにより、従業員は AI を価値のある存在として受け入れ、責任をもって利用できるようになります。
Aurora
ハンドルから手を放してはなりません。私は AI を、倉庫などで働く人が使う“パワードスーツ”のようなものだと捉えています。つまり、超人的な力を与えてくれるものですが、操作するのはあくまで人間であり、その結果に責任を負うのも人間です。
Miftah Khan 氏
SVP of Professional Services &
Chief AI Strategist Plative
Aurora
自律型のエージェントをいち早く導入する企業は、生産性向上の恩恵を受けるだけでなく、優秀な人材の獲得と定着においても優位に立てるはずです
Greg Vert 氏
AI for Human Capital Leader
Deloitte
Aurora
「全員に同じ AI ツールを提供するべきか、それとも選択肢を用意するべきか?」それを考えるところから始めました。従業員には、仕事の種類ごとにふさわしいツールがあることを認識してほしいと思っています。また、業界が進化を続けるなか、特定のベンダーやツールに固執してほしくないという思いもあります。
Samantha Garrett 氏
Senior System Engineer
Canva
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